定年後、夜の時間を持て余すようになった
退職してしばらくは、夜 9 時を過ぎると何をすればいいのかわかりませんでした。
現役のころは疲れてソファに倒れ込めば十分でしたが、
時間がある今は、ただテレビをつけて眺めているだけの夜が、なんとなく惜しく感じられました。
「せっかく時間があるんだから、ちゃんと観たい」と思いながら、
リビングの薄型テレビを見ていました。
家族共用のリビングでは、没入できなかった
映画が好きでした。
若いころはよく映画館に通っていましたが、仕事と子育てに追われるうちに遠ざかっていました。
一方、配信サービスが整った今なら、観ようと思えばいつでも観られます。
それでも、リビングではどうしても集中できませんでした。
というのも、妻がそばで別のことをしている。
照明が明るい。
音量を上げると気を遣う。
そのたびに、映画の世界から現実へ引き戻される感覚がありました。
「自分だけの部屋で、音と映像に包まれたい」と思うようになったのは、そのころです。
「没入できる部屋」を作ってほしい
プランナーさんに、こう伝えました。
「映画の世界に入り込める部屋が欲しい。広さより、質にこだわりたい」と。
すると、提案してもらったのは、石目調のエコカラットを一面に張ったテレビ壁と、天井と壁面の間接照明でした。
床はダークブラウンの無垢調フローリング、天井は黒。
そして、「光の向きと色で、空間を切り離しましょう」という説明を聞いたとき、まさにそれだと思いました。
チェアは 1 脚だけ。
レザーのリクライニングで十分でした。
10 年ぶりに映画を最後まで観た、完成した夜
そして、部屋が完成した夜、さっそく観たかった作品を再生しました。
すると、間接照明だけを点けると、石目の壁がうっすらと浮かび上がり、天井のダウンライトが星のように光ります。
音を上げても、妻のいるリビングには聞こえません。
さらに、リクライニングを倒すと、視界に余計なものが入らなくなりました。
気が付けば、 2 時間、微動だにしていませんでした。
エンドロールが終わって、しばらくそのままでいました。
10 年ぶりに、映画を最後まで観た気がしました。
「あなたの部屋、入っていい?」
翌週、妻が「ちょっと見せて」と言って部屋に入ってきました。
「なんか、ホテルみたいね」と言って、少し眩しそうに周りを見回していました。
「ここにいると、落ち着く気がする」と言ってくれたのが、少し意外で、うれしかったのを覚えています。
隠れ家のつもりで作った部屋が、妻にとっても居心地のいい場所になったようです。
そして、今では週に一度、ふたりで映画を観ています。
定年後の夜が、変わりました。
箕輪町 68歳・定年退職
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